辞書で引くと、『普通のこと、ありふれていること。またそのさま。』とある。
モロッコの西にあるアガディールという海辺の町がある。その近くに住む同期隊員の家で、朝ごはんをごちそうになったときに思ったこと。移動で疲れているにも関わらず、朝からごはんに味噌汁、卵焼きを作ってくれ、貴重な日本からの食材(こんぶとしめじの和え物やおもち)をごちそうになった。そのときに食べた味噌汁と卵焼きが、実家のものと似ていて、とてもとてもおいしかった。玉ねぎとわかめが入った味噌汁と、風味がつく程度の醤油で味付けしてある、形の崩れないしっかりとした卵焼き。大学に通うことになり、実家を出るまで毎日のように食べていた味噌汁と、卵焼きを思い出した。実家から離れて10年経つ。それだけ時間が経っても、変わらずに自分の中に残っていた味。日本であたりまえだと思っていたことに有難さを感じる分、これまでとは違う環境に生きていると、しみじみと思った瞬間だった。
おいしい味噌汁と卵焼きに有難さを感じたのと同時に、みんなのためにおもてなしをしてくれた仲間に感謝の気持ちで一杯になった、幸せな朝ごはん。