以前ここにも少し書いたバハタウィ先生との体育。順調な始まりと思った1回目のその後、2回ほど「・・・忙しい。」との一言で、授業をせずに帰ってしまい、今度こそ、と臨んだある日は保護者とのトラブルで実施できずにいた。長い目で、と自分に言い聞かせ、理想と現実の差を何とかごまかそうと思っても、やはり整理できず、どうしようもない思いで学校を後にしたこともあった。
でも、ここ最近、回を重ねる度に、少しずつ変化が出てきている。一番うれしいことは、先生が子どもの前に立ち、話し、「こうやってやるんだ。」とたまに実演をしてくれるようになったこと。ボールを投げて、目標物に当てる授業のときは、途中からずっと子どもたちの中に入っていた。「こんなのはどうだ。」といってペットボトルを並べてその間をドリブルしてみたり、ひそかに一人でリフティングをしてみたり、球技が好きみたいだ。
モロッコの先生から話してもらうことで、子どもたちにすっと入ることがたくさんある。先生が実演をしたり、準備をしたりする姿を子どもたちが見ることも、あまりこちらではない。そんな先生の姿を見て、子どもたちも何か感じるかもしれないし、ぜひ感じてほしい。「あ、先生が僕らのために準備してくれている。一緒にやってくれている。」そういうところから授業は少しずつ変わってくる、と信じて。
子どもたちよ、よく見といてね。
そして授業中に、バハタウィ先生が子どもと笑う顔もたまに見るようになった、ほんとにたまにだけど。そのときに目が合って一緒に笑える瞬間が好きだ。子どもたちも安心して笑う。どんな気持ちでやっているのだろう、どうしてやる気になったのだろうと気になるけれど、それはまだ聞かないでおこうと思う。もうちょっとして、しばらくしてから聞いてみたい。
今回も、モロッコの体育の教科書(といってもかなり古い)をパラパラ見ながら、できそうなことや、準備するもののことなどを一緒に話した。たった5分、10分程度のことだけど、自分にとってはとても貴重で、大事な時間。ペットボトルやひも、大きな布袋など、使えるものも考え、工夫する楽しみもある。でも、あまり欲張らずに、これからも一緒に楽しむために、少しずつ。
この日はハッサンのお宅へアンビテ(食事の招待)に呼ばれた。
犠牲祭の週ということで、この日も羊をごちそうになった。プルーンとアーモンドと一緒に煮込んだ羊のタジンがおいしくて、ハッサンの家のハリラがまたおいしいのでどんどん食べて、最近市場で見かけるようになったみかんもいただいた。
そして、動けなくなりそのまま1時間ほどソファで昼寝。ハッサンはわざわざ枕と毛布までそっと出してくれて、この上ない快眠。よく「モロッコ人は食べるか寝るか、そればっかりだ。わっはっは。」と笑い話で聞く。でも、おいしいものを食べて、お腹いっぱいになって寝る。シンプルだけどとても贅沢な時間だと思う。
今日もいい一日でした。