この日は協力隊の先輩隊員2人がウジダに来てくれた。「ウジダに来る」といってもここはモロッコの東の果てで首都のラバトから片道10時間、移動だけで一日がつぶれる。そしてこのウジダという町には観光名所やめずらしいものもほとんどない。しかし2人はウジダに来てくれた。自分の中には「まさかこんな遠くまで」という気持ちもあったが、そのまさかが現実になった。モロッコの人がよく使う言葉に「インシャーアッラー」という言葉がある。直訳すると「神の望むままに」と聞いたことがあるが、日本でいうと「もしまた機会があれば」という意味になるらしい。自分の中でウジダに誰か来るというのは「もしまた機会があれば」という枠の中のことで(なにせ遠い)、当分自分たちだけでの生活になると予想していただけに、2人がその機会を作ってくれたことが本当にうれしかった。
また、アパートの管理人さんにガスの取り付け作業の交渉もしてくれるなど、こちらの言葉でモロッコの人と普通に話している様子はさすが。おかげで火が使えるようになり、先週買っておいた食材で料理を作った。というかほとんど作ってもらった。ガスが使えるようになったことで生活の幅が広がり、食に対する楽しみも増えた。ウジダに来て約3週間、ほぼ決まったメニューで毎日の食生活をまわしていたため「自分の食べたいものを食べる」ことを切実に願っていた。もちろん食材や腕の範囲内ではあるけれど、今のこの時期に火を使って料理ができるようになったことが思った以上にうれしかった。
約2年間モロッコで活動してきた2人にこれまでの経験を教えてもらったり、そのほかにもいろんなことを話したりすることができた。ラマダン中の寂しい昼食から抜け出し、夜の楽しい時間を過ごせたことも、はるばるウジダまでやってきてくれた2人のおかげだ。ありがと~!
記念すべきモロッコ家料理第一号『カルボナーラ』